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終章映画


CSファミリー劇場チャンネルにて、「蟲師・終章」の最終話となる
特別篇「鈴の雫」が放送されたので視聴しました。
直前まで放送時間忘れてて、TVの視聴予約が作動してなかったら
きっとすっかり見逃していた……ありがとう視聴予約(笑)

原作コミックでも最終話となるエピソードをアニメ化。
TV放送の枠に収まらず?、約50分の劇場公開作となったものを今回初放送、
とのことで、またアニメ蟲師が見られる!とうきうき。
ほんと……この作品はいつでも戻ってこられるというか、
映像をひと目見ただけで、一瞬にしてその世界観の中に入り込める実感があって
心底製作スタッフさんたちを尊敬します……!
それというのも背景画がですね、本当に実写のように精緻で……!
風にゆれる草木の動きから色合い、季節感あふれる情景、そして
匂いや温度まで感じさせるかのような空気感をもった描写、
もうどう書き尽しても書き足りないくらいとてもとても丁寧な背景画が、
本当にこの作品の見どころだと思います。素晴らしい。

それから音響。自分はアニメ蟲師を見る時は必ずヘッドホン(イヤホン)をして聞くように
しているのですが、どんな小さな音でもごまかさない、こだわりぬいた音響効果を
ひしひしと感じることができて、眼福、というか耳福でございます。
ギンコさんが日本家屋の中でゆっくりと立ち上がり、片足に重心をかける、
その些細な動作にまで畳を踏んだ時のミシッ、ギシッという小さ~い音を付けるこのこだわり!
その小さな音があるだけで、ギンコさんの体重を、生きている重さを感じ取ることができて
本当に感服します……。
あと振り向いた時の服の衣ずれの音、室内と洞窟内で話す時の声のこもった感じ、
遠くでさえずる鳥のさえずりと水と風の音……
どれもがその場に自分がたたずんでいるかのように感じ取れて
その細かなお仕事ぶりにうっとりします。素敵。

ストーリーとしてはこの作品ならではというか集大成というか、
山のヌシが人間の少女であることの弊害と哀しさ、
そして「蟲師」独特の世界観のひとつである「理(ことわり)」の捉え方、というか
この世に生きとし生けるもの全てが「理」との約束を忘れないように、という
考え方を提示している感じで、終章として納得の終わり方でした。
ギンコさんの今までとかこれからとか物語はどうなるのかとか、
そういうありきたりな興味はすべて野暮、と片づけられるような潔い終わり方でした(笑)

もーね、なんつーかね、風景は綺麗だしギンコさんの顔は整ってるし、
動きは丁寧かつ滑らかだし、目で見るものすべてを画面に書きとって写しこんでいるかのような
気がするほどスタッフの皆さまたち素晴らしいお仕事をされていました(平伏)。
見ながらだんだん体が前のめりになってきて、この描きだされる世界のすべてを
目に焼き付けたい、て気持ちになりましたもんね。もちろん音も。
素晴らしいお仕事でございました……あ、動物の動きもすごく良かったですね。リアリティあった。

原作コミックのストックも全てアニメ化されたということで
これで本当にアニメ蟲師は最後ですが、こうして最初から最後まで追いかけることができて
本当に幸せでした。まる10年?いやー……すごいですね。
最後の最後まで原作へのリスペクトとクオリティを落とすことなくむしろ上昇させて
描き切ってくださったアニメスタッフの皆さま方には本当に本当に
素晴らしい作品を有難うございました、とお伝えしたいです。良いものを見せてくださり感謝。
自分が今のところ好きな話は「やまねむる」と「雨がふる虹がたつ」と
「野末の宴」「香る闇」かなあ。どれもアニメの出来としても物語としても秀逸なのです。

ああ、本当に良いアニメを見ました。見終わって多幸感あふれる稀有な作品。
この作品と出会えて本当に良かったです。ありがとうございました。
by katuhiro-iyama | 2016-04-02 00:21 | 蟲師感想 | Trackback | Comments(0)


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